イマジナクトラボ

コンテンツマーケティングとストーリーテリングからコミュニケーションの今と未来を考え、発信します。

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次世代ダイレクトマーケティング対談― 新しい時代における「価値」の伝え方

キャラクターとプロット両方を持つストーリーの本質にも通ずる強み

花崎 今「ストーリー大事ですよね」って話よく言われるじゃないですか。そのストーリー領域のバイブル的な評価を受けている書籍でクリストファーボクラーが書いた「神話の法則」という本があるんです。

田中 へー。神話の法則。神話っていうのは神の話?

花崎 そうです。神話というのはなんで時代を超えて人々の心に残っていったのかということですよね。それこそがストーリーの本質であり、その原理原則を明らかにすることを試みた本なんです。その本の監訳者の岡田勲さんという方がいるんですけど、特に岡田さんが言っていたことでなるほどと思ったのが、「森羅万象よく見ればすべて2つの要素が入っている」ということ。そして基本の2つの要素として言われているのが、キャラクターとプロットだと。キャラクターというのは人間の内面・感情といったようなコンテクストのもの。

で、一方プロットというのは、自分の外側で起こっている出来事だとか、そういったものですね。例えば映画なんかで言ってもアクションものっていうのはどちらかというと、バランス的にはプロット寄り。外側で何か爆発した、それに対して人が反応するみたいな。外側の出来事の起伏に反応して人が変わると。その場合、感情の移り変わりっていうのは軽視されていたりするじゃないですか。

逆にドラマとか恋愛ものっていうのは、どちらかというと、日常起こっている何気ない出来事を取り扱っているんだけど、内面的に苦悩しながら成長していく側面を中心に描いている。これはどちらかというと、キャラクターに重きを置いたジャンルであるということになります。二つの要素が混ざり合って森羅万象できているんです、というような話があったんですよ。

そして、キャラとプロット両方持っているのは非常にパワフルで、幅広い人を惹きつけるということがあると。その話を踏まえて今おっしゃっていた「人の感情を大切にしています」というのはどちらかというとキャラクター寄りの取り組みですよね。

逆にデータを見ながらやるべきことを決めていくといった、結構ロジカルに何かを進めていくというのは、プロットです。

そういう二つの要素を両方しっかり持たれているところが、田中さんの強みかもしれません。

一般的にセミナー講師やる人って高度に専門性を持ってる人なんですよね。で、専門性持っている人がセミナーでやることは、その知識を教えようとすること。だから普通にやればプロット偏重になるんですよね。専門性を高めるための知見を提供しますということでね。そうすると、確かに「役に立ってよかった」という面での満足感は提供できるんだけど、まあそれだけだったりする。

逆に田中さんは、人間を理解した上で、例えば自分自身の思いみたいなものも語る感じでやるじゃないですか。嬉しい楽しいみたいな話もあったりして。そういうものがあることによって、感動している受講者の方結構多いんですよ。そう思いません?

田中 そうですね。ありがたいですね。マーケティングセミナーなのに(笑)。

株式会社大和広告 代表取締役 花崎 章花崎 マーケティングセミナーって普通感動はしないと思いますよ。まさにストーリーの本質的なところを体現されているような感じがあるんです。それはプレゼンテーションの中でもそうだと思うし。今ソーシャルメディアがあるじゃないですか。そういうところでも田中さんのやり方っていうのがすごくいいなと。たとえば私の投稿って、どっちかっていうと、「今ここにいます」「今これ食べてます」という自分の外側の出来事を語りがちなんです。でも本当に人に共感を与えてる投稿って、「今こんなに苦しんでる」と、「でも前向きにやろうと思っているんです」というような自分の内側のことを赤裸々に描いている場合が多いんじゃないかと感じています。キャラクター寄りの投稿なんですよね。私が思うのは、ソーシャルメディア上でも、キャラとプロット両方あったらすごくいいんじゃないかなと。

マーケティングでも、同じ受け手に対して、いろんな手段でキャラとプロット両方用意してあげることが、効果を高めるひとつのポイントになってくるのかなあという気がします。「どうせ買うならあなたから」という状況に近づくためのアプローチとして有効じゃないかと。

田中 そういった意味では発信するときに気にしているのは、表の数字のところは数字じゃないですか。外側のものじゃないですか。中のものを話す時にあまり今の自分のこころの在り方はあえて伝えないんですよ。今のこころの在り方よりもちょっと先の話、割と未来寄りの話をするんですよ。「こうしたいと思っているんです」とか、「だからここに向かっています」というように。もしくはとことん過去の話をします。「こういうことをして失敗しちゃったんです」と、「だから反省しています」とか。今の状態はあまり言わないようにしているんですよ。今の状態を言うと、過度に共感してくる人がいるんです。それは干渉に近づいてきたり、そういうものが増えてくるとお互いに楽しくない。もしなんか状況を伝えるときも、例えばさっきのブログの話じゃないんですけど、うどんを写したとするじゃないですか。うどんがおいしかったというよりも、器がすごく熱かったんですとか、そういう表現にするんです。器がすごく熱かったって言うと、人はリアルに感覚を持つんですよ。味のことは言ってないんですけど、その人がうどんを想像してくれるんです。

大事なのは自分が今こう思っているからこれに共感してとは言わずに、状況に共感するようにするんです。

花崎 「自分に置き換えて」という感じですか。

田中 相手が置き換えやすくするということです。「寒い時にあっついうどんを持つだけで幸せですよね」って言う方が、相手は自分が好きなうどんを想像する。
そういうところは割と緻密に気にしています。会話の中でも。

花崎 「置き換える」ってよくおっしゃってますもんね。置き換えやすくする場を作ってあげると。それは販促にも言えることですよね。そこで語っていることが、自分が今持っている課題なり、なりたい自分なりに置き換えやすいように、こういう自分になれるかもしれないと思っていただきやすくするメッセージをどう届けていくか、みたいな。

田中 そうです。ですから自分のことは言うんですけど、外側のことを話さないといけないんです。中はあなただよと。それは割と丁寧にシナリオ作ってますね。

花崎 これ以上感動させちゃうと、大丈夫かなと思いますけどね(笑)。実際多くの方が感動していますけど。もう一回呼んでくれという話もたくさんいただいたり。

田中 それは多分、自分達が認められたという感じがするからかもしれませんね。大事なのは、まず相手をまず丸ごと認めることだと思います。
僕のメッセージ表現の中に、「そのままでいいんだよ」というのがあるんです。僕は自分がやってきたことの足跡をちゃんと伝えるから、歩くのはあなた達だと。僕が歩けるんだからあなたも歩けるよと。そうすると自信が出てくるんですね。その自信は結局やってみようかなという自信に絶対つながるんですよ。

花崎 一人ひとりのストーリーを歩んでいただくためのきっかけを提供すると。

田中 あと、難しい勉強もするんですけど、講演全体でいつも思うことは、会場の中に小学校5年生がいても、その子に僕の話が理解できるかどうかということを考えて話しています。

花崎 なるほど。それは私も気をつけなければならないポイントです。

田中 より簡便な言葉に置き換えられるかどうかということ。もちろん、ビジネスマンだから共通言語を使ったほうがいい時があるんですよ。でもその共通言語を仮に使っても、自分がその言葉を小学校5年生の子に説明できるロジックや言葉を別に持っているかってことは常に大事にしています。

花崎 難しいことをシンプルに分かりやすく伝えるというのは、それだけ本質を理解していないとできないですよね。

田中 ただそのスピード感のために、あえてその言葉を使うことは必要だったりしますけども。早いから。要は使い分けなんですよね。でもそれを使った時には誰かを積み残しているかもしれないというのは、全体を見て、キョトンとした顔が多かったら、より簡便な言葉でもう一度話をする。そうやって2回で話すと理解が深まるんですよね。
僕は講演の中で、順番を変えたり、内容を変えたりして3回ずつ話をするようにしているんです。言葉を変えて。

花崎 それはやっぱり、受け取りやすくという意図ですか?

田中 そこにいる全ての人が、全体を通してわかりやすかったって思ってもらうためですね。

花崎 ダイレクトマーケティングのABテストじゃないですけど、いろんな広告表現やってみるというのに近いですよね。人によって違うんですよね。本当にサービスの価値を受け取るべき人に受け取ってもらうためにも、いろんな言葉がけを用意してあげるってことは、セミナーに関わらず必要なんでしょうね。

田中 一番良くないのが、言ってる側が分かったつもりになっていて、伝わっていない。そして聞いてる側も分かったつもりになっている。どっちも分かったつもりで進んでいっちゃうと、場は成立するんだけど、中身のないことになっちゃう。ダイレクトマーケティングで一番怖いのがそれなんです。そこにお金もかかっているじゃないですか。お金かけてよく分からない広告を打って、聞いた方もよく分からない状態で進んじゃったっていうのは誰も幸せにならないですよね。

花崎 そうですね、確かに。