イマジナクトラボ

コンテンツマーケティングとストーリーテリングからコミュニケーションの今と未来を考え、発信します。

  • imaginactlab. youtube
  • imaginactlab. facebook
  • imaginactlab. google+
  • imaginactlab. rss

    RSS登録はこちら

    feedburner_rss_icon Subscribe in a reader

ソーシャルリスニングから広告まで データ分析の達人が語るこれからのデジタルマーケティング

単なるエクセルのお遊びにならない「分析力のある人」の要件

花崎 さきほど分析力っていう話がでましたけど、泉さんが思われる「分析力のある人」の要件って何ですか?

 少なくともデジタルマーケティングで出てきたデータを分析する場合に、やっぱりスキルセットとして統計学の素養は、どうしても必要になるんだと思います。一見意味のないように並んでいるように見える数字の中から意味を見い出すというのが統計学ですから。そういった意味で統計学的な素養とか知見、あるいは分析の技術などは必要になるんだと思います。

一方で考え方とか見方という点でいうと、その仮説検証能力ですね。これがないと、単なるエクセルのお遊びみたいな世界になっちゃうんですよね。ビッグデータって、今バズワードみたいになっていますけど、とろうと思えば今いくらでもデータはあるわけですよね。

例えばSEMだけの世界をとっても、当社のクライアントさんは、マーケティングを支援する会社をいくつかを経た後にご相談に来られるケースが多いんです。最初に「過去にどういう分析をしてもらってたんですか?」とお聞きして、見せてもらったり話を聞いてみたりすると、出てきたAという数字とBという数字を、とりあえず割ってみるといったような分析が非常に多い。先ほど申し上げたように、いいね!を一件とるためのコストは、費用といいね!数があれば、誰でも出せるわけですよ。

ただ、そこに仮説や、その仮説をもとにどこに行こうとするのかというシナリオがないと、ただ単純にフェイスブック広告にかけたコストといいね!の数を割ってみても、その英語でいうところのSo What?ですよね。「だからなんなの?」というところが出てこない。この「だからなんなの?」を明確にするためには、仮説とかシナリオが必要なんですよね。もちろん分析はしないよりしたほうがいい。全体像が見えていないと、とりあえず手元にあるAとBという数字が出てきたら、それを割ってみるとかかけてみるとか、コストパーエンゲージメントっていう言葉がでてくるんだけれども、それの意味するところをきちんと捉えられていないと、戦略に転換できないわけですよ。だから、そこの素養っていうのは多分すごく大事なんだって見ていますね。

株式会社大和広告 代表取締役 花崎 章花崎 確かにデータを分析すること自体が目的化してしまってはなんにも意味がないわけで。ある目的を実現するために分析をどうするかっていうことですね。

どうでしょうか。分析の過程で様々な数値など、いろんなものが出てきますよね。たとえばソーシャルリスニングでいえば、結果としてのクチコミを見た上で、ある意味を見出したり、仮説を立てる、あるいはその検証するといったことを、効果的に行うポイント、持論のようなものはありますか?

 抽象的な話にはなってしまうかもしれないんですけど、でも、ある意味今回ロンドンでコーシックさんが言っていたメッセージと通ずるところがあると思うんですけど、企業はお金をかけてウェブ構築や維持管理など、様々なマーケティング活動をしてますよね。それらを経営者視点で見た時に、そこからどういうバリューが生み出されたのかっていう最後のところですよね。そこを見失わないということが大事なんです。常に、最終的にはそこに照らし合わせて検証していけば多分ただの数字の遊びに終わらないで済むわけですよね。

ページビューや平均滞在時間がどうだったのかいう所、そこにものすごくたけている人はたくさんいらっしゃいます。我々もいろんな企業の担当者の方にお会いすると、「アクセス解析やっています」と。で、「どういうことやってますか?」というと、膨大な量のレポートを作ってるわけです。それはそれでいいと。ただ、そこにSo What?があるかどうか。ネットビジネスにおけるSo What?が何かというと、つきつめていくと「それでいくら儲かったんですか?」という話ですよね。

だからそこに対して、平均ページビューが増えて、平均滞在時間が増えた。あるいは新規とリピートのユーザーの比率が変わったと。それは全部最終的にどこにいったのかというところ。例えばそれによって問い合わせが増えたとか受注件数が増えたのかっていうところと照らし合わせれば、次のアクションが多分出てくるんですよね。

逆に、この最後の視点がない人は、ある施策をやったことによって平均ページビュー数が増えた場合でも、平均ページビューが増えたからよかったねとか、直帰率が下がったからよかったねっていう話で終わってしまうんです。

アクセス解析畑の人から「リスティング広告やって確かに流入数が増えました、だけども直帰率が増えたので評価としてはネガティブである」といったコメントをもらうことがあるんですよね。それは本当にアクセス解析の中だけで完結した世界での議論だと思うんです。

あたりまえの話なんですけど、例えば今まではあまり新規の人が来なかったとします。どちらかというとその会社、そのウェブの事を知っている人たちがきて、リピート購入をしていると。その場合、一定の数は売れるんだけれども、売り上げの成長は非常に鈍い。

一方、来訪者は既にロイヤリティもあってエンゲージメントもできている人だから、平均滞在時間も長いし、全体に占めるリピートユーザーの比率が高い。で、アクセス解析的な世界でいうと、「だから直帰率は低くてすごくいいね」「平均ページビューが多くてすごくいいね」「良かった!」というレポートになるんです。

でも経営者からすると、「いやそうじゃなくて売り上げは?」っていうね。来年15%の増収増益目標があるなかでリスティング広告で新しい人を連れてこようといった場合、この施策で来る人は検索して初めて来訪した新しいお客様です。しかもそれはブランド名検索じゃなくて、いわゆる一般的なキーワードですよね。「ワンピース」であるとか「スカート」であるとか、「英会話」みたいなキーワードで来た人。

だから、その会社とかブランドにはまだまったくなんの思い入れもない状態で来るわけですから、当然リピートで買っている人に比べれば、多分滞在時間も短いだろうし、コンバージョン率も低いでしょうと。でも、そんな人の中からロイヤルカスタマーを育てていくことをやらない限り、成長はないわけじゃないですか。

つまり、決してマイナスではなくてプラスのはずなんですよね。でも視点の置きどころひとつで「アクセス増えたのはいいけど直帰率下がった。問題だ!」という判断にもなりうる。それらの結果はアラートとしてあがるのはいいんですけど、問題だからといってネガティブという評価をしてしまうと、いわゆる最終的なエコノミックバリューとはかけ離れた議論になっちゃう。この視点は大事なんだと思うんですよね。

花崎 データ分析というのはその企業の成長のためにやっているんだという、目的を見失わないことは大事ですね。

そして、目的に照らしながら、次のアクションにつなげていくこと。か新しいことを始めるのかもしれないし、かをやめることなのかもしれないし、今やっていることを何か変えてみることなのかもしれない。目的と照らしながら、データを見、次の施策を考え続けることが、最終的には成果を上げるためのデータ分析のスキルアップにつながっていくんでしょうね。

 文化的な違いもあるのかと思うんですけども、いわゆる英語でいうSo What?って、そんなに意地悪な言葉ではないんです。もちろん意地悪で言うこともありますよ。批判的な意味で「だからなんだよ?」っていう意味もあるんですけど、それだけじゃなくて、So What?っていうのは「なるほど。じゃあそこから得られる結論ってなの?」という問いに対する回答を引き出すための言葉だと思いますよ。日本で「だから何なのよ?」って言うとちょっと意地悪な感じですけどね。

花崎 なるほど。

 例えば企業の中に経営者と部下がいて、部下の人が何か報告した時に、経営者が「だから何なんだよ」と言うと、すごく批判的な印象ですよね。だから、そんなことを言うと関係がまずくなるみたいな、ある種の遠慮があるんだと思うんです。でも本来So What?っていうのはそんなに意地悪な言葉ではない。So What?So What?っていうのを重ねていくことによって、本来の・・・。

花崎 上位概念にチャンクアップしていく感じですよね。そして、最終的に目的合理性があるのかどうかっていうことですよね。おもしろいですね。分析力のある人っていうのは、目的合理性と行動力のある人っていう風に聞こえてきました。そういうことなんでしょうね。

先程おっしゃったように、便利なツールができて、実践者とリサーチャーみたいな役割を、ある一人の人間が統合的にやっていくということになった時に、従来のようにデータ分析だけが役割の場合とくらべて、より一層大切になってくるのかなと思いました。「データ分析を何のためにやっているのか?何かを変えるためにやっている。そしてそれは目的実現のために」というところをしっかり握りながら次の一手を考えて、実践に落とし込んでいく。これをやり続けることが大事なことなんでしょうね。