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ループス岡村健右氏が語る人を動かすゲーミフィケーションの基本PDFリンクボタン




岡村 健右氏 プロフィール

岡村 健右
株式会社ループス・コミュニケーションズ
ソーシャルメディアコンサルタント
mobage、GREE、mixiなどのソーシャルアプリ、ゲームを得意とするソーシャルメディア・コンサルタント。オンライン、オフライン問わずゲーム要素を取り入れることでファンとの活性化を図ることができる「ゲーミフィケーション」について研究している。グループウェア、CRM等の業務系システムにも精通し、adwords/Admob/Facebook広告などの広告関連業務なども幅広く担当。ブログ「in the looop」ゲーミフィケーション、ビジネスSNS担当。OGC2012「ソーシャルゲームのテクニックでゲーミフィケーションを設計する」登壇。Facebookページ「ゲーミフィケーション・ラボ」運営。

花崎 章 プロフィール

花崎 章
株式会社大和広告 代表取締役
広島県生まれ。中央大学商学部卒。大学卒業後、広告会社営業、メーカー広告宣伝担当を経て、2002年から現職。社長業を務めるかたわら2007年に社会人大学院デジタルハリウッド大学院に入学。主にデジタルテクノロジーとマーケティングに関する研究に参画し、オフラインマーケティングの経験と新たに獲得したオンラインマーケティングの知見と人脈を生かした幅広い活動を展開している。その他コーチング、アクションラーニング、NLPなど、個人と組織内の効果的なコミュニケーションや学習に関する研究も行い、コラボレーションツールを活用した自社ビジネスへの応用を実践中。デジタルコンテンツマネジメント(DCM)修士。LABプロファイル® 認定コンサルタント&トレーナー。

今までのキャリアとソーシャルメディアとの出会い

株式会社ループスコミュニケーションズ 岡村 健右氏花崎 岡村さん、今日もよろしくお願いします。そして昨日は勉強会で貴重なお話ありがとうございました!どうでしたか?福山のオーディエンスは?

岡村 そうですね、いつもは東京とか大阪が多いですからね。昨日はいろんな質問をいただけてよかったんではないかと。

花崎 質問多かったですね。ウチの勉強会でも過去最多の質問、あれだけ実際出てくるのはちょっと珍しい。普通日本だと「質問ありますか?」っていってもなかなか出ない。

岡村 手があがらないみたいな。

花崎 参加者のみなさんもゲーミフィケーションをご自身の業務とつなげて考えるいい機会になったかなと思います。ありがとうございます。
私自身ゲーミフィケーションの書籍で一番初めに読んだのが、ゆめみの深田さんの「ソーシャルゲームはなぜはまるのか」という本でして、これはおもしろいなと。
ちょっと後で触れたいんですけど、実はウチの会社で「行動科学」っていうのを導入しているんです。これは組織の中で人をどうやって動機づけるか、というコンテクストの話なんですけど、ゲーミフィケーションも行動科学も本質的に人間理解ですよね。人間の動機づけとそれに基づく行動みたいなところを、科学的に解明していこうというアプローチが、非常に近いなあと思っていて。そういったことも含めて今日いろいろお話を聞かせていただければと思います。

岡村 よろしくお願いします。

花崎 業界関係者というか、特にソーシャルメディアまわりでは、ループスさんはすごく有名だし、その中で岡村さんがゲーミフィケーション専門領域でやってるというのは結構ご存じの方いらっしゃるかと思うんですけど、まずはあらためてこれまでのお仕事のキャリアについてお話しいただいてもよろしいでしょうか?

岡村 私は大学卒業後に、まず最初は大阪の会社で就職したんです。そこではプログラマーSEとして働いていました。その後転職して2社目の会社が東京本社だったのですが、実は私自身大阪から出る意向は全くなかったんです。当時社内では、CRMのパッケージをアメリカから持って来て新規事業を始めるという時期で「岡村ちょっとそこに参加せえへんか」という形で呼ばれ、営業職として東京に来ました。もともと営業志望というところもあったし、「最初3か月だけ勉強しに行ってきます」という感じでした。それが気が付けば半年、3年、結局東京で結婚していました。

花崎 成り行き的に東京で、という感じだったんですね。

岡村 そうですね。そういうのがなければ今でも徹夜しながらグループウェアとか業務系のシステム開発をしてたんじゃないかなと思います。

花崎 東京に来た瞬間から営業職に変わられたんですか?

岡村 そうですね。だから当初はとまどいましたね。大阪と東京の違いもあるし。

花崎 カルチャーが違う上に職種も。それこそ開発から営業っていうとね。

岡村 関西のほうはお客さんと仲良くなって仕事もらうという面がある一方、東京って「ウチの会社にどういうメリットがあるんだ?」という面にはシビアだったので、苦労はしましたけど、そちらの方が本質的にはいいのかなというのはありました。

花崎 逆にベネフィットさえ感じていただければ、比較的商談が成立しやすい感じはあるかもしれないですね。

岡村 今のループスが3社目になるのですが、2社目で働いていた時の部長がループスに転職して、「岡村けえへんか(来ないか)」と声をかけられました。私も、もうちょっとおもしろいことしたいという希望があったので移ることを決めました。でもソーシャルメディアのベンチャーで働くこと自体、正直個人的にはよくわかってなかったんですよ。当時はミクシィも使ってなかったし。

花崎 当時それが何年頃のお話ですか?

岡村 5年前ですね。2007年なので。ループスに入って、私自身も劇的にかわりました。当時は社内のシステムをやっていて、独自コミュニティを開きたいっていう会社さんに対しSNSのパッケージを提供していました。
外向け(コンシューマー向け)のシステムということもあり、誤作動したらエライことなるというので、その時期は結構大変でしたね。
その事業自体はちょっと厳しかったっていうのがありました。何故かっていうと、企業が独自コミュニティ開くってなかなか成功しにくいですよね。今ではおそらくほとんど残っていないと思いますよ。

花崎 継続的に活性化させていくところってたぶん難しいのかなって気がしますよね。

岡村 そこが本当に難しい。あの頃ミクシィなどにはすでにいろんなコミュニティがありました。だから「わざわざこちら(社内の独自SNS)に行くインセンティブって何なの?」となる。ミクシィのほうが人数も多いし楽しいと。
当時はまだツイッター、フェイスブックは日本では流行ってはいなかったのですが、そういったやり取りを通し、我々自身、当社がもっているパッケージだけじゃなくて、既存のプラットフォームを使ってやる方がいいということに、気付き始めていました。
そこで、営業方針を方向転換しようという話しになったのです。SNSパッケージを扱っているときは、リスティング広告を数十万単位で出稿していた時期もあったのですが、それを一切やめました。電話を一件ずつかけながら、アウトバウンドで営業をやってた時期もありました。でも「ソーシャルメディアいりませんか?」って電話かかってきても、「そもそも何?」みたいに言われてしまう。更に「ミクシィやってないねんけど」と言われると、一から教えていかなければならず厳しかったです。
ですので、「では、ソーシャルメディアに関心がある方から仕事をいただこうじゃないか」ということになり、社長の斉藤がブログで情報発信を始めました。斉藤のブログでは、ツイッターやフェイスブックの詳しい情報や、海外に行かないと入手できないような情報を発信していました。
さらに社員も「自分の得意分野を」ということで各自情報発信することになりました。私の場合はそれがゲーム領域だったのです。まだ日本でやってる方は殆どいなかったんですが、ちょうどソーシャルゲームもフェイスブックで流行りはじめていた時期でした。
ブログによって、ユーザーさん、つまりファンがついてくれたという面は大きかったですね。ファンの方々が、ソーシャルメディア関係の仕事が発生した際に、「いつも情報出してくれているループスさんにお願いしよう」といった感じでお声がけをしてくれるようになったのです。それでも最初の1年くらいはすごく苦しんで、ブログのPVも少なかったです。しかしツイッターの爆発によって、「ループスさんすごくいい情報出してくれている」というのをどんどんみなさんに広めていただけるようになりました。そういう方から結果的にお声掛けがくるようになったという経緯があります。