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ループス岡村健右氏が語る 人を動かすゲーミフィケーションの基本

可視化と拡散性を組み込んだ設計

株式会社ループスコミュニケーションズ 岡村 健右氏岡村 ゲーミフィケーションでもそういう設計が大切です。キャンペーンの場合でも、参加してもらうだけで終わってしまうケースがすごく多い。例えば何かアイデア募集をする際もいいね!ボタン設置したりするのがすごく重要です。さらにいいね!が多くつけばその人が優勝だという風にしたりする仕組みを考えたり。しかしそれだけだと、いいね!をつける人の動機がなくなってしまうので、いいね!をつけた人の中から抽選で何かプレゼントするなど、評価してみようと思ってもらいやすい仕組みも必要です。その両方の方々のことを考えて設計するとよいと思います。

花崎 参加する人の立ち位置ごとに分けて考えると。

岡村 フェイスブックの場合、比較的いいね!を押してもらいやすいと思います。ただ、一般的にキャンペーンって参加者以外の人がいいね!押すことってあまりないと思うんです。そういうところを後押ししてあげる。

花崎 岡村さん、たしかフェイスブックのカバー画像、競馬ですよね。競馬がお好きというイメージがあるんですけど。
ちょうど昨日も競馬に関する記事をシェアされてましたよね。競馬もゲーム性のあるものだと思うんですけど、そのハマる要素をゲーミフィケーション的に分析するとどんな感じになりますか?

岡村 パチンコや競馬は、よくソーシャルゲームに例えられることが多いですね。一般的にギャンブルはソーシャルゲームとすごく似ていて、ハマる要素があります。ハマりすぎると危ないので、制限が掛けられているケースがすごく多いですね。実はソーシャルゲームは、これまではあまり制限が掛っていなかったんですが、最近になって規制みたいな話が徐々に出てきています。
競馬のハマる要素についていえば、2つ。
馬好きという観点でもハマリますし、馬券を買うことによってもハマる。最近は馬券の種類も結構増えてきて、一攫千金もあり得る。それこそ1回で2億みたいな。
また、一人で楽しむこともできるんですけど、仲間と一緒に「当たった」「はずれた」みたいに盛り上がれる要素もある。そういったところがやはり楽しめる要素なのかなと思います。

花崎 競馬に対する愛情を多分人一倍お持ちの岡村さんが、先日の記事にもあった「競馬離れ」というこの由々しき状況を、もしゲーミフィケーション的に打開するとすれば、岡村さんならまずどういったことを盛り込んで、その人気を回復していこうと思いますか?

岡村 私自身も一人で競馬をやっているときより、他の人達とやっているときのほうがより楽しいので、みんなで予想を共有したりするのはいいと思います。あと「行っている」ということを他の人にも「見える化」する。「俺はこれだけ毎週毎週東京競馬場に行っとるんやぞ」みたいなことをアピールできるとおもしろくなる。あとパドック(競馬場での馬の下見所)の情報。今JRAでは情報の個別配信が一般的で、パドック解説は会場である東京競馬場の中でやっています。また会場では、キャンペーンなどもやってるんですけど、そういった会場内の情報をもっと見えるようにしてあげることは、大切かなと思います。

花崎 確かにそうですね。

岡村 そうすれば、どういう人達が来ているのかという情報も、他のファンからも見えますし、それこそ継続性につなげていけるようになる。
競馬場って、イベントをすごいやっているんですよ。食べ物系も、浜松餃子とか出てきたりするんですよね。

花崎 へぇ~。

岡村 それが殆ど共有(シェア)されていない。そこで、「イベントに参加している人達がこんなに楽しいんだよ」ということを見せてあげれるような仕組みが必要ですよね。それは別にウェブでも現地だけでもいいと思うんですけど。

花崎 確かに以前、それこそオグリキャップとかの全盛期には、同僚なんかとの日常会話の中に競馬ネタって結構出ていたし、競馬通がちょっと楽しそうに話しているのを聞いて、「有馬くらい買ってみようかな」とか、心情として出てくるところもありますよね。普段やらない人の興味をかきたてることができるかもしれない。また、既にやってくれている人に対する何らかの新しい価値をJRAさんから提供することも可能になるでしょうね。

岡村 そうなんですよね。「競馬場に来ればスタンプを押して」とか「何か抽選でプレゼント」みたいな単発のキャンペーンはやっているんです。
でも、それだけじゃなくて「毎週来ているぞ、こいつすごいな!」みたいな見せ方の仕掛けが加わるとファンは継続して頑張って行くと思うんですよね。

花崎 JRAサイドから何か称号なんかもらえた日には、ヘビーユーザーは喜ぶでしょうね。

岡村 何かバッジつけてたら「すごいな」みたいな(笑)

花崎 そうそう(笑)。それこそ別の入口から入れちゃうとか、特別な所で見れちゃうとか。

岡村 馬主席で見れるなんてのは、もう夢ですよね。ファンからすると。

株式会社大和広告 代表取締役 花崎 章花崎 そういう何らかの特別感を演出したり、いろいろ機会はあるでしょうね。

岡村 そうすると競馬から離れにくくなりますし、その人達からまた情報がシェアされたりっていうことはあるのかなぁと。

花崎 なるほど、おもしろいですね!ぜひ、やってくださいよ(笑)

岡村 ハハハ(笑)。JRAさんからお声が掛れば、やります。

花崎 あ、そうか。売り込みしないですもんね。向こうから掛らないと声が。

岡村 はい。