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熊坂仁美氏対談コンテンツ「画像キュレーションサイトから紐解く ソーシャル活用の今とこれから」




熊坂仁美さん対談インタビュー「画像キュレーションサイトから紐解く ソーシャル活用の今とこれから」PDFリンクボタン




熊坂 仁美 氏 プロフィール

熊坂 仁美
株式会社ソーシャルメディア研究所 代表取締役
ソーシャルメディアコンサルタント、講演家。
慶應義塾大学文学部卒業と同時に結婚、子育て専業主婦として19年間を過ごす。離婚をきっかけに42才で始めた不動産会社のアルバイトが社会人デビューとなり、その後営業職、インタビューライターを経てコンサルタントに転身。異色のキャリアを持つ女性としてNHK『グラン・ジュテ』に取り上げられる。テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』など、メディア取材、出演多数。著書に日本初のFacebookビジネス書『Facebookをビジネスに使う本』、『Facebookを集客に使う本』(ダイヤモンド社)、共著に『Pinterestビジネス講座』(翔泳社)がある。

花崎 章 プロフィール

花崎 章
株式会社大和広告 代表取締役
広島県生まれ。中央大学商学部卒。大学卒業後、広告会社営業、メーカー広告宣伝担当を経て、2002年から現職。社長業を務めるかたわら2007年に社会人大学院デジタルハリウッド大学院に入学。主にデジタルテクノロジーとマーケティングに関する研究に参画し、オフラインマーケティングの経験と新たに獲得したオンラインマーケティングの知見と人脈を生かした幅広い活動を展開している。その他コーチング、アクションラーニング、NLPなど、個人と組織内の効果的なコミュニケーションや学習に関する研究も行い、コラボレーションツールを活用した自社ビジネスへの応用を実践中。デジタルコンテンツマネジメント(DCM)修士。LABプロファイル® 認定コンサルタント&トレーナー。

画像キュレーションサービスを使うことの意義

花崎 昨日はセミナー、懇親会と遅くまで本当にありがとうございました。

熊坂 こちらこそありがとうございました。

花崎 ちょっと遅すぎましたか?大丈夫でしたか?

株式会社ソーシャルメディア研究所 代表取締役 熊坂 仁美氏熊坂 大丈夫です。私8時くらいまで爆睡していました。なんであんなに寝たんだろう?真っ暗だったんで、また3時頃に目が覚めちゃったなーと思ったら、8時(笑)。

花崎 ちょっと時間がかなり押してきて(笑)。昨日はまた、新しい情報も交えていただいたんで、早速ウチにもFacebook上にいろいろと感謝の声を頂いていて。来年10月もお越し頂けるとご宣言もいただいたんで、テーマは決まっていないですけど(笑)。

熊坂 毎年10月っていう(笑)。

花崎 よろしくお願いしたいと思います。

熊坂 よろしくお願いします。

花崎 まずは本題に入る前に、最近オフィス移転とともに、新しいロゴに変更されましたよね。教育事業を始められた時期でもあり、節目という思いがあるんですか?

熊坂 そうですね、今までどちらかというと一人社長でやってきたわけですね。外部とのアライアンスを組んでやってきたっていう形で。もともと私自身は会社を大きくしようとかそういうふうな気持ちは全くなかったんです。自分でやれる範囲でやろうと思っていたんですけど、ここにきていろいろなお話をいただくようにもなり、自分自身もやりたいことがいろいろ出てきたわけですね。それらを実現するためにはやっぱり組織が必要ということで、心機一転という形でロゴも変えて、体制も変えてという形で真剣に取り組んでいきたいと考えているんですね。

花崎 優秀なスタッフも入って。非常にいい布陣が整いつつあるのかなあと。

熊坂 そうですね。

花崎 実際熊坂さんご自身じゃなければできないところに注力しやすい環境に。

熊坂 そうなんです。私じゃなきゃできないところは私がやって、あとはサポートしてもらうと。

花崎 また、新しい教育事業の話も後ほどお聞きしたいと思います。
まずは昨日のセミナーのテーマで言うと画像系ソーシャルキュレーションサービスというようなところについてお伺いしたいと思います。昨日勉強会の挨拶の時にも申し上げたんですけど、例えばFacebookなどでも写真はアップロードできる中で、業種的には向いているにも関わらず、Pinterestをはじめとした画像キュレーションサービスを自社のポートフォリオに組み入れるかどうかで悩んでおられる方が少なからずいらっしゃると思うんですね。画像系サービスを使うことの意義とか違いですよね。そのあたりについてまず教えていただいてもよろしいですか?

熊坂 Facebookっていうのは一般的なプラットフォーム、いわば「なんでもあり」っていうプラットフォームになっています。一方でもっといろんなタイプのファン、いろんなタイプのユーザーがいる中で、ある面に特化しているサービスも出てきている。その一つがPinterestのような画像キュレーションだと考えています。
Pinterestのユーザーが増えてきたということで、興味を持たれる企業が多いんですけど、すべての企業がやっていいかっていったらそうでもないと思いますね。BtoBでうまくいっているところもありますが、基本的にはBtoC、しかも画像がキーになる業種、例えばファッションであるとか、あるいはインテリア関連などに向いている。具体的にはPinterestでよくRepinされているような写真に関わる業種はやっぱり向いてますね。
そしてもちろんECサイト。これはダイレクトリンクでつながるということで、実際にアクセスアップで業績が上がるっていう例も出てきていますので。
例えばバーバリーのようなビッグブランドは、TwitterもFacebookもPinterestも、といった具合に全部やっているわけですね。すべてのチャンネルにアカウントを持つというのは何故かというと、それぞれのユーザーが違うってことなんですね。私の友達でもPinterestに夢中になっているのは女性が多いんです。女性ユーザーの話を聞いてみると、「Facebookはやっているんだけども、何を書いていいかわからない。でも、Pinterestだったら書かなくていいし、ビジュアルが綺麗だからやっている。」と言うんです。ある人はPinterestが大好き、ある人はFacebookが大好き、といった感じでそれぞれに違うユーザーがいるということなんですね。だからこそマルチチャンネル戦略を持つ企業が多いと。その中の一つがPinterestだということですね。

花崎 新たなブランド表現の手段を持てるというのはひとつ強いところですよね。あとはさっきおっしゃった、ダイレクトリンクでコマースとの相性がいいと。何より興味でつながれるというところが前提にあるというのが本質的な違いのひとつではないでしょうか。ソーシャルグラフ、つまり知人とのつながりというのが必ずしも自分の趣味を反映しているとは限らない。その間にあるズレを埋めるという意味においても役に立つという感じですかね。

熊坂 そうですね。おっしゃるとおりですね。

花崎 そういう意味ではビジネスにつながりやすい。実際コマースでの参照元として存在感がある。

熊坂 そうなんです。Pinterestの方が多いというデータもあります。

花崎 かなりいい確率で来てくれると。

熊坂 おっしゃる通りです。Facebookっていうのはご存知の通り、売り売りになっては嫌われるっていうのがありますよね。人間関係の中である場所なので、宣伝ばっかりしていると嫌われるとかっていうのがありますけど、Pinterestの場合はそういうのはあまりないですね。関係ないと。商品写真でもなんでも出してOKというところでリテーラー側もやりやすいというのがあるのかもしれませんね。

花崎 ビジュアルが主体なだけに、売り文句も少なくなるというのもあるでしょうね。

熊坂 そうなんです。言葉によるものっていうのがないので、写真がすべてを語るというものなので。

株式会社大和広告 代表取締役 花崎 章花崎 そこが大きいと。さっきおっしゃっていた女性のユーザーって割合的に多いって言われるじゃないですか。男性はどっちかっていうと一般的に言われることで左脳的なのでテキスト情報とかデータのようなものを好むのに対して、女性は直感的にみたビジュアル、美しさであるとか、そうしたインパクトにより敏感に反応ができる。そういうところもあるのかもしれません。

熊坂 ありますね。これは私の考えなんですけど、インターネットはそもそも言葉によるもので始まっていて、乱暴な言い方だと左脳的なものだと思うんです。だからこそ検索キーワードっていうものがあるんですけど、だんだん左脳の言葉の世界から写真などのビジュアルの世界、感情とかソーシャルなんかはまさにそうだと思うんですけど、感情的なものが入ってきて、左脳から右脳に振れてきたっていう実感がありますね。

花崎 昨日の話でもあったように、リアル社会により近づいてくるということは、これまでテクノロジーとかインターネットがサポートできていなかった領域にもそういったテクノロジーが入り込んで、女性もハードル低くより入りやすいサービスが出てきたと。その象徴的な存在として、Pinterestをはじめとした、ああいうサービスがあるということなんでしょうね。
あと、いわゆる通常のソーシャルメディアと違ってストック型ということを書籍でもおっしゃっていましたよね。フロー型でリアルタイムウェブで流れていく情報、今というものを重視したものに対して、よりアーカイブ性が高いと。

熊坂 そうですね。それはすごく大きいことだと思いますね。TwitterにしろFacebookにしろ、シェアとかReTweetされるのは、その直後から長くて一日、二日。二日目にはほとんどないという状況の中で、Pinterestっていうのは半年前の写真がRepinされたりとか普通にあるんですよね。

花崎 企業側からしてもメリットがありますね。例えば同じ情報でも何度もアップロードするということは通常のソーシャルプラットフォームだとあると思うんですけど、Pinterestの場合っていうのはストックされているということですよね。

熊坂 そうです。カテゴリごとに分かれてストックされているので、ユーザーは自分の気に入ったカテゴリが見つかって、その中にすごく気に入った写真があったらそれは一年前のものであろうが二年前のものであろうが、自分のものにしたいと思って、そこでまた新しくフィードが発生するというのがすごく大きいと思いますね。

花崎 それは大きいですね。一方でストックされる情報ってことですから、それこそ情報爆発がさらに加速していくことになり、その中で目に留める工夫というのも求められているんでしょうね。

熊坂 おっしゃるとおりで、いわゆるキュレーションサイトっていうのが出てきたっていうのは、あまりに情報が多くなったからだと私は思っています。結局キュレーターっていうのは情報の整理屋さんなんですよね。専門的な人の目から見てこれがいいよといったものに乗っかると。その方が効率が良くて楽ですよね。

花崎 信頼できる情報源を持てば、その人をフォローしていれば間違いないと。その信頼関係って当然大事ですよね。

熊坂 そうなんです。だからみんながキュレーターを探し始めている。キュレーターは言ってみればリーダーになるわけで、これは逆にえばキュレーターと、それを見ているフォロワーという二階層になってきていると思います。

花崎 そういうことがPinterestの中で起きているんですね。

熊坂 完全に起きていますね。