リアルな体験が行動を変える 販促にも使える動機づけ
原田 それにしても、田中先生お呼びするのも大変だと思いますけど、(いつもの勉強会とは)骨子を変えたブートキャンプのような試みは、私自身はおもしろいなあと思います。いろんな異業種の方とウチの社員も刺激を受けますし。
花崎 けっこうやっていけばいくほど、ウチの人脈は増えている感じがあって、すごい財産になっているんです。サービスの提供っていうのに使えるということもあるんだけど、ウチの知見が増えるっていうのもあるし、また違う形の展開も考えられるのかなと。今回参加していただいた方に、またいろんな違った価値を提供できればなあと思っています。お客さんに対する動機づけをどうするのかみたいなコンテクストで、いろんなコンテンツができるのかなって。今回の一つの基本的な指針としながら、いろんな肉づけをしていくような、田中先生なら田中先生でいいんだけど、田中先生以外のものもあっていいのかなぁと。数が集まらなければ、ウチが会社の中で勉強会みたいなものを二・三人でも集まればやってもいいかなと思っているんです。セールストークになったとたんに「こういうチャレンジしてみませんか?」というのがお客様から受け入れられない確率を相当高めるんですよ。逆にそういう新しいものに挑戦できる場を社内で設定する場みたいなものをやりたい。まあこうやっていろいろやり出すと止まんなくて困っているんですけど。
高橋 こんなことやっているところないですよね。
原田 ないですよね。ちょっと聞かないですよね。
花崎 本当かどうかはわかりませんけど、全国的にみても珍しいみたいです。特にエージェンシーがですね、こういうことやるのって。
秋山 正直言って私も不安だったんです。初っ端がFacebookだったじゃないですか。参加させてもらいました。福山の地域で果たしてこれはOKなのかなと思いながら、その後立て続けにセミナーを組まれたじゃないですか。地域差っていうのが一番心配だったんです。
花崎 この地域ではちゃんとした講師がアサインできないんじゃないかみたいな、そんな感じですか?
秋山 ええ。それと結果につながるのかなと。そこが心配だったんですけど。
花崎 それはわかんないですよね。やってみないとわかんないんだけど、時代が変わってきているのは間違いないんで、とりあえずやってみるしかないっていう感じだった思います。特にソーシャルメディアっていうのは、やってみないとわかんないでしょうね。だから地方に浸透するかどうかもわかんなかったですけど。
秋山 でも、ある意味チャンスかなって思いましたよ。
花崎 最近ソーシャルメディアは、地方にこそ価値をもたらすと思っているんです。ソーシャルって元来面倒くさいものですよね。一人ひとりと対話しなければならないし、Googleまでの効率化とは対極です。より精緻なターゲティングをして、自動的に収益があがる仕組みを作っていくみたいな話だったんで。これは要するに資本力がある中央の企業には非常にいい話だったんだけど。ソーシャルは最初に話になったのは「すごい面倒くさいじゃん」みたいな話って中央では結構あったように思います。逆に両方見てまわって思うのは地方でソーシャル活用ピンとくる人って経営者層の方々、それまでに散々面倒くさい地縁の中でのしがらみを生き抜いてビジネスを拡大してきたビジネスオーナーの人達ね。こういう人こそがソーシャルに価値を感じているのではないかと。情緒的で面倒くさいしがらみってもともと田舎に結構根強くあるので、それに近い香りがソーシャルにあると思うんですよ。グローバルにも展開できるんだけれど、ローカルでも使える。本質的にはすごいローカルな感じ。
マスとはちょっと違いますよね。ボトムアップなんですよ。それが地域という小さなチャンクでも使えるというのはすごく感じますよね。ソーシャルグラフってある程度地域でまとまっているじゃないですか。福山の人は福山の中でソーシャルグラフっていうのはメインだし。そう考えるとソーシャルグラフで情報が伝播していくっていうのはローカルビジネスにピッタリなんだなって。
秋山 最初は不安があったんですけど、やってみていいなって思ったんですよ。結果がだんだんとついてきているのかなっていう。やっぱり変な固定観念があったんですよ。それが払拭されたんで。
花崎 当然ユーザーも東京あたりから増えてきますから、地方で本当に火がつくのはタイムラグありますよね。でも明らかに田舎向きだと思いますよ。ソーシャルメディアは。ローカルで活動しているスモールビジネスとかにピッタリな気がします。リアルにモノを売っている小売とか飲食業とか。
勝岡 今全然、アクセサリーキットが出ないんですよ。
花崎 今というのはここ数カ月ぐらい?
勝岡 いやここ数年です。ビーズのアクセサリーキット。
花崎 それはなぜ?
勝岡 いや原因はちょっとわかんないんだけど、ファッションが多様化しているのと買った方が安いっていうのも。買った方が作ったより安いっていう。
秋山 作った方が達成感ありますよね。
勝岡 達成感があるんですよ、全然。
秋山 愛着がすごいですよ。
花崎 そこですよね。何か共同体験にしてカップルなのか親子なのかよくわからないけど、共同体験にして思い出をストラップにとか、そういう意味づけっていりますよね。
勝岡 そっちのほうがやっぱりいいみたいですね。
花崎 「体験」なんですよ。
原田 ウチなんかダマンマで、親子ピッツァ体験教室なんてやったらすごい来ますよ。
花崎 ああそうですか。体験って大事ですよね。リアル店舗が強力なのって実際の体験ができるところじゃないですか。メーカーさんなんかもそうだし、われわれ広告会社もそうだけど、体験できる場って持ってない。なんか欲しいんですよね。ウチにとってブートキャンプなんかは一つ参加者との共通体験の場。こういうのがないとこんなに仲良くならない。セールス活動だけの間柄じゃここまで突っ込んだ話多分できないですよね。
勝岡 そうですよね。
花崎 そこなんですよ。
秋山 目的が一緒じゃないですか。それやっぱり大きいですよね。みんな同じ方向に向かってるのっていうのもありますよね。
花崎 たしかに。僕なんかよりもたぶん同じチームにいるメンバーとは、より深いエンゲージがあると思うんで。それをどう演出するかっていう。お店なんかだと、それはよりやりやすいと思うし、来店してこられた方との接客というタッチポイントだけでなく、さらにもう一歩踏み込んだ何か。たぶん車じゃなくて何か来店〜体験を通じて最終的に車が売れるみたいな。
秋山 そうですね。実際多いですね。
勝岡 試乗車でキャンプに行こうみたいな?
花崎 いいですね。家族でキャンプとか行って子どもが喜んだら買うんじゃないかなって。
勝岡 買っちゃいますよね。
花崎 買っちゃう(笑)。
秋山 結構あるんですよ。お子さんか奥さんが気に入ったらって結構ありますからね。
花崎 とかく「車を売ろうとする」んですよね。車の装備はこうですとか。インテリアはこうですとか。それはそれで大事なんですけど体験を通じてそれを実感させたりっていうのはすごい大事だし。
秋山 ありますよね。だって買っても実際その機能を使わずに終わってしまうっていうこともありますからね。
花崎 そうですよね。MIYUKIアクセサリーもそういうことなんですかね。どうすればいいんですかね。
勝岡 いやあ難しいなあ、アクセサリーは本当に難しいです。それよりストラップとかの小物を時間かけて作って、愛着心があるものは日頃身につけておきたい。携帯ストラップだと毎日つけていても普通じゃないですか。
秋山 全然問題ないですよね。カスタマイズできるっていうのもある程度表に出していってみてはどうですか?
勝岡 カスタマイズって割とマイノリティなんですよ。日本人は「仕様通りに作りたい」っていう人種ですかね?
原田 料理教室かなんかでも、「塩少々っていうと少々は何グラムだ?」っていう。
花崎 なんか、崩し王決定戦みたいなのやんないんですか?「こんなに崩しました」みたいな。
「これ作ろうと思っていたのになぜかこんなのが出来てしまいました」とか(笑)。
原田 何でこうなった選手権(笑)。
高橋 すごいおもしろそうじゃないですか。
勝岡 いいかもしれないですね。ちゃんと説明書にも書いてあって、それなのにそれを全く無視して、こんなのが出来上がったっていう。
花崎 自由に作る楽しさみたいなものがね、何か伝わればね。