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次世代ダイレクトマーケティング対談― 新しい時代における「価値」の伝え方

これからのダイレクトマーケティングの課題 顧客離反をいかに減らすか

花崎 ダイレクトマーケティングの話に行きたいなと思うんですけど、このコンテンツ、広告主から我々のような支援側までダイレクトマーケティングに関わるいろんな立場の方がお読みになると思うんですけど、今日本国内の環境の中で、ダイレクトマーケティングまわりの課題みたいなことって何かお考えになられていますか?

田中 それはダイレクトマーケティングの大きなくくりでってことでいいですよね。

花崎 大きなくくりでもいいですし。特定の領域であればそれでも。

ライズマーケティングオフィス株式会社 代表 田中みのる氏 僕一番思うのは、これから日本は当然ながら人口が減っていくわけじゃないですか。そうするとどんな業態もお客様は減りますよね。絶対に。

だとすると、今の既存のお客様をとても大事にしなきゃいけないと思うんですね。もちろん新規のお客様も大事なんですけど、これまで以上に離反していくお客さまをつなぎとめないといけないと思いますね。で、離反原因っていうのは、割とシンプルで、「忘れる」「飽きる」「卒業する」の3つだって言われているんですよ。

よくサービスの提供側は、クレームのせいで減っていくんじゃないかという不安を持っているんですけど、顧客離反の一番の原因がクレームのような会社があったら、その会社は潰れますよ(笑)。間違いなく。

花崎 たしかに(笑)。

田中 クレームっていうのは提供する側からすると、怖いからこころに残るわけですけど、一方で顧客離反は「なんとなく」起こるんですよ。その「なんとなく」をちゃんと説明すれば「忘れる」「飽きる」「卒業する」なんですね。この3つを減らす作業を、僕はダイレクトマーケティングで、もっと丁寧にすべきだと思うんですよ。

例えば顧客に対してDMを送る場合、自社のお客様1000人全員に同じDMを送るのは絶対間違えていると思います。最低でも3つの階層に分けなきゃいけないと思うんですよ。「最近のお客様」「ずっと来てくれているお客様」「放っておいたら去って行くお客様」最低でも3つ。この3つでメッセージを変えていかないといけない。

花崎 そこも3タイプに合わせた言葉がけですね。

田中 それは他の施策でもそうですよね。同じメッセージをやり続けるんじゃなくって、今回のメッセージは自分達のファン層に向けようとか、今回のメッセージは最近自分達のことを知ってくれた人に向けようとか、前は使ってくれていたけど今浮気している人に呼び掛けてみようとか。絶対にメッセージの向こう側のお客様をいくらかにグループ化して伝えていかなければいけないと思います。それがダイレクトマーケティングだと。

花崎 なるほどね。今ソーシャルメディアなどがもてはやされていますけど、現状でいえばユーザー1000万2000万人レベルで、まだ今はみんながそこで対話ができる環境でないとすれば、いろんなツールを使いながら対話を重ねていくみたいなことは大事ですね。

田中 探っていくことが大事ですね。今社長からツールという言葉が出ましたけど、もっと大切なことは、ツールの特長を理解して、その特長に合わせた役割を与えてあげる。僕はすべての販促物には役割があると思うんですよ。得意な分野が。

TVCMというのはやっぱり、どんと広く到達する。看板っていうのは遠くには行かないけれども、たくさんの人の目に映る。ずーっとあるわけじゃないですか。DMだったら、その人の手元につく。ウェブだったらより詳しく知りたい人に情報を伝えていける。

だったらツールごとの特長を活かして、そのツールにちゃんと役割を与えてあげる。ということが必要だと思います。

花崎 それこそ、綿密なシナリオを立てて、それぞれの役割をどう演じてもらうかという、一つのストーリーを作っていくみたいなね。

田中 そういうところの全体像のシナリオというものを、それこそ大和広告さんみたいな、いろんなツールを持っている、携わったことのある人が全体像の把握をしてあげて、全体のマッピングシナリオを作ってあげるんですよ。御社はこういうことをやってますよね、こことも連動しましょう、こことも連動しましょう、全体的にはこういうストーリーで行きましょうって。

花崎 そうですね。そこで大事なのはキャラクター的な発想で、あるペルソナを立てた人が、どういう行動なり情報の接触を経て、最終的にはファンになっていただくかというところですかね。後フォローも含めてね。他と比較したり検討したりする余地もないぐらいにロイヤリティ・ループを醸成する。「私シャンプーと言ったらこれしか買わないんだ」「これ以外考えられない」と、そういう状態にどうやってなっていただくかっていうことを設計していくような。

田中 可能な限り設計したいですね。もっと言えば、買ってもらってファンになってもらうんではなくって、買うときにはファンになってるぐらいの仕組みを作っていきたいですね。

花崎 そこもシナリオ次第でいろんな施策が考えられると。我々もいろいろやりすぎて、スタッフも爆発しそうですけどね。

あと一方で思うのが、新しいお客さんにもいくらか入っていただく必要があると。そこもダイレクトマーケティングがすごく役に立つところでもあるのかなあと思うんですけど。その点で言うと、情報爆発の問題ですよね。情報がありすぎてスルーされていく広告メッセージみたいな。チラシもたくさんあるし、昔に比べるとインターネットから発信される情報もあると。でも人の時間は24時間で変わらない。その中で、どういった情報が自分に関係があるのかというレレバンシーみたいなところ。田中さんのおっしゃるような、その人に向けたメッセージになっている方が、自分に関係があると思うから受け取りやすいところはあると思うんです。

田中 ちゃんとターゲットを絞るというね。

花崎 一つの課題としては、情報爆発して環境は激変してきているんだけど、マーケティングの施策自体はそこまで変えていない企業が意外と多いのかなと。例えば5年前10年前に比べて、自分達が発信する情報ってスルーされていく確率ってめちゃくちゃ上がっていると思うんですよ。はっきり言って。なのに、やり方を変えてない。変えないで何を言っているかというと、「今のやり方はちょっと効かなくなってきたんだよね」と言っている。ということがあるのかなあと。

そういう意味からすると、我々がそれを啓蒙しきれていないところっていうのもあるのかなあと思うんですけれども、そこを解決する何かをやっていかないといけないんだろうなと。今ある施策を、昔と同じようなやり方をやり続けながら「効かなくなった」というのではなく、今の時代に合わせてやり方自体をより精緻に考えていく。

例えば折り込みチラシがありますと。折り込みチラシって効果ありますよねという会社としての判断があるとします。それは何十年も前からね。だから効果が落ちてきたという時に、「だから折り込みチラシはダメになった」じゃなくて今の時代に合わせて、どうすればいいのか。「何を」するかじゃなくって「どう」すればいいのかというところを、もっと真剣に考える機会というものが必要なんじゃないかなと思っているんです。

田中 おっしゃる通りだと思います。

花崎 もう一つは新しいテクノロジーをどう活用していくのかというところがあると思うんですけど、その2本立てでウチもやっていこうかなと思っていて。

その一つの支柱として、今回まずはウチのスタッフのスキルを継続的に高め、新しい時代にあわせてアップデートさせていく。我々自身も自分達なりにがんばってはきたんですけど、それをより加速させるために、今田中さんのお力をお借りしている状況ですね。どうですか?こういう取り組みっていうのは?ウチのを3ヶ月くらいやってみての感想でもいいですし、他のエリアでもこういう取り組みってされていると思うんですけど、やっていって何か感じるところってありますか?

田中 そうですね。情報爆発のところからの話になってくると思うんですけど、あまりにも情報が増えて、消費者はおろか、提供する側も選べなくなってきているんですよ。まさに社長がおっしゃる通り、「何を」じゃなくて「どう」すればいいか。打つ手がなくなってね。

そんな時に、誰から聞くかってことが大事になってきているんです。情報が整理できないんだったら、誰の情報を信頼するかってことに今、どんどんと市場は動いていってると思うんですよ。

だとすると、この福山の地で広告をきっちり見てきた、大和広告にお願いする理由っていうのをちゃんと伝えてあげれば、何を選んでいいかわからない時に、まず大和さんに聞いてみようってなるのは当たり前で。食事なんかもそうで、たくさんメニューがあって選べない時に、いつも給仕してくれている担当から、「花﨑さん、美味しいお皿が入りました」と言われて、断る理由ないじゃないですか。「あんた信頼しているから持ってきてよ」と。そういうことですよ。無意味な情報は見なくてもいいと。こいつの言うことは正しいから。もし万が一違っても、違ったよと言ってやれば修正していくということですね。

情報があまりにも多いから、その情報を整理する何か、誰かを絶対欲しがっているんですよ。僕は今御社とお付き合いしていて、御社のスタッフが、相手に合わせた、情報のソムリエじゃないですけど「御社は折り込みチラシの反応率今不満ですか?でもそれはやり方変えていくべきですよ。」でもいいですし、「いや、折り込みチラシ一旦休みましょう。その分をウェブに回してみませんか?ウェブに誘導するためのポスティングをしてみましょう。」とかね。手法がありすぎてわからなくなってきているんだったら、相手のための相手に合わせた仕組みを提案するという形になっていけば、選ばれる理由なんですね。そこをお手伝いしているつもりです。

実際今日今年3回目ですけど、スタッフの吸収力がすごいなと思いました。理由はわかっていて、多分みなさんそれなりに自分達でやってきているんですよ。経験的にお客様の不満を聞いていて、でも自分がその不満に対して多分こうかなと思っても、自信を持って発信する裏打ちが見えなかったとしたら、その場合他人のメッセージでもいいと思うんです。他人の言葉でも「どうやらこういうことあったみたいだ」というものがあれば、自分の直感や仮説をちょっと自信を持って言えるじゃないですか。その段階にすごく早い時点で到達なさっているなと思うんですね。

あとは繰り返しの話になるんですけど、打席数。とにかくどんどんどんどんエラーを恐れずにトライ。そうしてくると、市場が見えてくるんですよ。「どうしていいかわかんない」っていうお客様の声が見えてくるんですよ。「どうしていいかわかんない」っていう風に言ってくれたら、今回僕の言うことを聞いてくださいよって、言いやすいじゃないですか。

それをちゃんと引き出せなかったら、「なんか持ってきてよ」って言われちゃう。「なんか持ってきてよ」ってある意味乱暴な話で、持って行って吟味されて、「なんか違うな」とか、「何が違うんだよ」となるじゃないですか。