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熊坂仁美氏がコンテンツマーケティングにも重要な動画について語る! なぜ今企業が動画をやるべきなのか?

今のO2Oを支えている技術的なトレンド

花崎 これまで熊坂さんは様々な形態でコンテンツを発信していらっしゃいましたよね。書籍はもとよりWEB、ブログ、あとメルマガなんかも。そしてYouTubeなりハングアウトなどの動画と。あとFacebook、Twitter、Google+、Pinterestなどのソーシャルメディア・・。

熊坂 もうありとあらゆることを(笑)

花崎 そんな中、熊坂さんご自身のブランディングにおいても動画が非常に効果を発揮していると実感されているんじゃないかと思います。いま人にコンテンツを伝えるための様々な手段をどう役割分担させて、ご自身のブランディングを組み立てられているのかということについてお差支えのない範囲で教えていただけませんでしょうか。

熊坂仁美氏熊坂 役割分担というか、インターネット上で露出して何か成果を残すためには、大切なことが二つあると思うんです。一つはエンゲージメント。コミュニティ的なものを作ってファンとかフォロワーの方とより濃い会話をして、キズナを強めていく。こうした「エンゲージメント」を強めるのが一つ。もう一つは「検索」です。これはインターネット上で何かをやるときに避けては通れないものだと思います。これらが両輪だと思うんですよね。エンゲージメントを高めて検索対策を行う。要は、自分のメインキーワードで上位にランクされる状況を作りたい。この二つなんですよね。この二つをどのツールでやっていくかというのが大きいテーマであったと思うんです。そして、いままで検索と言えばGoogle、そしてエンゲージメントといえばやはりFacebookなどのソーシャルメディアといった具合にわかりやすく分かれていた部分があると思うんです。これまではあんまりエンゲージメントの部分はGoogleってあまり関係が無かったんですよ。だけれども私の目から見るとGoogle側がエンゲージメントに交錯してきたというか、エンゲージメントのところにフォーカスをし始めてきている。そしてその重要な役割を担っているのが実はYouTubeなんです。

花崎 なるほど。そういうことなんですね。

熊坂 GoogleはYouTubeのことを「エンゲージメントプラットフォーム」と呼び、そう定義づけているんです。

花崎 確かに動画が持つ表現のインパクトは破壊的ですよね。コンテンツの王様というか、音声も映像も使い・・・。

熊坂 表現力が豊かで、エンゲージメントが高めやすいですね。YouTubeはこれまでは単なる動画の視聴場所であり、動画の置き場所だったと思うんです。スタートアップでGoogleに買収されたという経緯から、Googleとはある意味で別ものだったわけです。「Googleが動画共有サイト買いました」っていうところからスタートしているんですけど、今の状況は「GoogleがYouTubeを内包し始めた」んです。つまり“Google+”= “Google”ですよね、それがGoogle+とYouTubeが連携ではなくて統合し始めているというのが今の流れです。つまり“YouTube”= “Google”になってきているとも言えるかもしれません。

そして、なぜ「エンゲージメントプラットフォーム」なのか、その本質はYouTubeがSNS化しているってことだと思います。
Google+と融合することでYouTubeがコミュニティになってきている。それはそのチャンネルファンのコミュニティ。これを作りましょうという流れなんですね。 

花崎 なるほどね。ソーシャルのGoogle+とサーチのGoogle、その中核をなすエンゲージコンテンツのYouTube。そんな位置づけでしょうか。その意味では、エンゲージメントとサーチを統合させている首謀者はGoogleで、彼らは全てを持ち合わせている。

熊坂 全てを持ち始めてきているということですよね。「エンゲージメントと言えばやっぱりFacebook」と言われていて、非常にエンゲージメントを高めやすいプラットフォームであるのは事実なんですけど、一つ欠点があるとすれば、Facebookの中のコンテンツ ―写真でも、テキストでもかまわないんですけど― にいくら「いいね!」をもらおうが検索には出てこないってことでしょうか。
基本的にFacebookにはプライバシーセッティングがありますので、検索側が入っていけない。仮にパブリックだったとしてもFacebookのコンテンツはGoogleの検索上位に来ていることはあまり見たことがないです。

花崎 そうですね。

熊坂 確かにエンゲージメントを高めるっていう意味で一生懸命Facebookに力を入れるのもいいんですけど、インターネット全体を見た場合に検索はなくならない。むしろ増えてきている。そう考えた場合に、せっかくコンテンツを作っても検索に反映されない、Googleに評価されないっていうのもちょっと効率良くないんじゃないかなと。

花崎 機会損失ですよね。

熊坂 ソーシャルを活用する場合、やりやすいし、「いいね!」という直接的な反応がありますからどうしてもFacebookに過度なウェイトを置きがちなんですよね。ちょっと考え方、視点を変えてGoogleつまりGoogle+やYouTube、こういったところにもウェイトを置いてもいいんじゃないかと。というか置くべきなんかじゃないかというのが今の私のメッセージなんです。

花崎 エンゲージメントも必要だし、検索されるテーマといったことも必要だと。コンテンツと配信チャネルを2つの要素からバランスよく取りそろえていくことが大事だということですよね。

熊坂 そこでキーになるのが、やっぱりGoogle+なんですよ。Google+って人気がないんです。はっきり言って。わかりにくいし、今一つ反応も良くないですよ、Facebookと比べると。私でもそうです。人数の問題もありますけど、同じものをFacebookとGoogle+に投稿しても、全然反応が違うんです。同じ「SNS」として考えるとFacebookと比べて非常にGoogle+が分が悪いんですね。ただしGoogle+で投稿したものは全てGoogleにインデックスされるんです。Facebookじゃありえないですよね。それと、Google+のプロフィールは自分自身のGoogle上の身分証明書みたいな部分がありますので、やはり押さえておくべきだと。

花崎 ビジネス的には「役に立つコンテンツ」と「エンゲージメントのコンテンツ」の両方が必要なんだと思います。そして二つの対極的な要素を両立するものも中にはありますけど、それぞれ本質的に少し違う気がするんです。そういった意味では「役に立つコンテンツ」を発信していく上では、名刺代わりのGoogle+アカウントのオーサシップが有効。検索結果にも影響を与えるということを考えると、ビジネス活用する際にはGoogle+は押さえておくべきだなと思います。

熊坂 そうですね。個人アカウントもそうですけども、基本的に企業アカウントも同じです。Google+ページを起点にYouTubeのチャンネルも出来ますし、ページのプロフィールも入れられますので、特別力を入れなくてもいいけど、活用すべきなんですね。Google+は検索に強いから。

花崎 そうですね。アカウントを持っていれば、例えばブログや様々なものを発信する時にそれをオーサーランクとして検索結果にダイレクトに反映されるっていうメリットがありますよね。そう考えるとFacebook、Twitterも含めてGoogle+以外のものはどちらかというとエンゲージメントよりの立ち位置なんですかね。

2 Twitterの場合は、またちょっと違うんですね。Twitterの場合は、ツイート自体は検索にインデックスされないんですけども、Twitterのまとめサイトはもちろんのこと、Naverもツイートが引用されやすい、YouTubeも引用されやすいですよね。結果としてこのようなサイトが今度はインデックスされます。一方でFacebookの投稿が引用されるってことはあまりない。

花崎 内容もよりパーソナルですからね。

熊坂 内容がパーソナルだし、Twitterは140文字っていう限度があるから、すごく引用されやすくて、ポンポンポンっと並べやすい点がありますよね。

花崎 そうですね。情報チェックするのにも非常に使い勝手がいい。私も個人的には情報収集にわりと使ったりします。いろんな情報がランダムに飛び込んできて。

熊坂 Twitterはもう古いっていう方もいらっしゃるんですけど、Twitterもやるべきなんですね。

花崎 そうですね。それぞれのサービスの長所をうまく使いながら、全体としてのコンテンツ群を形成していく。

熊坂 そうですね。ブログを中心としてFacebook、Google+、Twitterを連携させつつ、自社メディアみたいな形で全体をつくっていく。話を戻すとYouTubeとGoogle+が連携したことによって、これまでとはまた違った組み合わせになってきたというところなんですね。これは非常におもしろいですね。でGoogle+のコメント欄がYouTubeに連携されるというニュースが先日発表になりました。(2013年11月現在は実装済み)実装されるのは今年一杯で、全員に実装されるということなんですけども、そうなるとまたおもしろいことになるんですね。

花崎 具体的にはどうなるんでしょうか?

熊坂 同時投稿になるんです。例えば私がGoogle+に自分の動画をシェアします。そうするとそこにGoogle+のサークルの人達が来て、コメントをしてくれます。で、そのコメントがYouTubeの私の動画下のコメントに同じく反映されるんです。二つ同時、ダブルで投稿されるということなんです。これによって両方が盛り上がりますし、Google+の方からYouTubeの方へ流入経路が一つまた増えたと言えるんです。

花崎 逆にYouTubeはヘビーに使っているけど、Google+はって言う方も、そのコメント見ることでGoogle+への逆流効果っていうのも・・。

熊坂 あります。YouTuberと呼ばれる、YouTube動画を何年も作り続けてきたクリエイターの方たちと最近非常に親しくさせていただいているんですが、彼らはGoogle+のサービス開始よりもはるか前からYouTubeをやっているんですね。だからほとんどの方が匿名。ところがGoogle+になると実名が基本ですので、この連携がちょっとした問題になっているんですよ。
「面倒くさい」っていう風に言う方もいらっしゃいます。ただ逆にこれまで全くYouTubeをやってないけどGoogle+もアカウントを持っている人たちにとっては、この連携はメリットが大きいですね。やりやすいと思います。

花崎 なるほど。